うつ病の診断・治療の混乱

  →宮岡等・北里大学医学部精神科教授「うつ病診療の混乱」
   『日本医事新報』No.4362(2007年12月1日)105ページ

 SSRIのような抗うつ剤はベンゾジアゼピン系鎮静睡眠薬と比較して耐性の増強や依存性、離脱症状は少ないと考えられています。しかし薬剤の種類によっては、例えば塩酸パロキセチン(=パキシル)など、には依存性があり、患者さんによっては離脱症状のため入院が必要になることがあります。抗うつ剤については先のICD-10に関する文献には以下のように書かれています。

抗うつ剤については次のように説明すると記載されています。
・効果が現れ始めるまで2〜3週間はかかるので、きちんと続けて服薬すること。
・軽い副作用がでてくることがあるが、ふつう7〜10日以内には軽快する。
・服用を止める前には医師の相談すべきであることを強調する。
・状態が改善した後も、少なくとも3ヶ月は抗うつ剤を継続する。

 2〜3週間以上、多くの場合数ヶ月以上、服用を続け、いつ服用を止め、離脱症状にはどのような症状があり、どう対処するのかといった説明がなされないのであれば、依存性のある抗うつ剤はいつまでも、ときには何年も服用を続けることになってしまいます。

「症例01」ある患者さん(女性)は、以前から一日、ソラナックス4錠、デプロメール(50mg)2錠を長期服用していました。最近、別の精神科医師から、 デジレル(25mg)4錠、ルーラン(4mg)2錠、ドグマチール錠(2.5mg)1錠、レキソタン錠(2mg)2錠、レンデム(0.25)1錠が追加処方され、 立つこと、歩くことができなくなりました。減薬してもとに戻り、やっと家の内外を歩く歩くことができるようになりました。

 家族の声です。「医者からもらう薬が100%適切な判断のもとで処方されていない」となんとなく分かっていても、気にして いなかったのは、(もらった薬には)副作用がない、離脱症状がないとの前提でした。  副作用、離脱症状が激しい薬をもらうのであれば、適切な治療とは何か、離脱症状との付き合い方など、 あらたな観点で薬と付合う必要があると思いました。」