《長野県下伊那郡・南アルプス・初雪》
抗うつ剤が使われる病気・症状
抗うつ剤はどのような疾患、状態・症状に対して処方されるのかを考えてみました。専門家でないのであいまいさや間違いもあるかと思います。あくまでも参考意見としてお読み下さい。結論として、うつ症状、あるいはうつ状態が見られれば、うつ病でなくてもかなり多数の精神疾患・症状に使うことが可能です。しかもうつ症状やうつ状態が内科的疾患に付随してみられることが多いので、近年は内科医が処方することが多くなっていると思います。
(参考:『ICD-10 プライマリーケアにおける精神疾患の診断と診療指針』椀薬:中根允分・吉武和康・園田浩香、ライフサイエンス出版k.k.1998)
国際疾患分類:ICD-10
・国際的に文化の違いを越えた適用の可能性が考慮されている。
・主要症状として「うつ症状」が出てくるさまざまな病名(●)を以下に書き出してみます。
・治療法として抗うつ剤がでてくる場合、小さな太字でそれを記しました。
●大うつ病(the most severe category of depression)
気分障害のなかの「大うつ病性障害」として診断される。
●軽症うつ病、長く続く軽いうつ状態が「気分変調性障害」(気分変調症)
以前は、抑うつ神経症、神経性抑うつと呼ばれていた。
●双極性障害(双極性感情障害・躁鬱病):うつ病の時期と躁病または興奮の時期を繰り返す。
アルコールや他の薬物の使用によって同様の症状が惹起されることがある。
●Depressive Episode(いわゆるうつ病):
うつ病を来しやすい状態や疾患:出産後、卒中後、パーキンソン病、多発性硬化症。
うつ病症状を惹起することのある薬物:
βブロッカー(降圧剤)、他の高血圧治療剤、H2ブロッカー、経口避妊薬、ステロイド剤。
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抗うつ剤については次のように説明すると記載されています。
・効果が現れ始めるまで2〜3週間はかかるので、きちんと続けて服薬すること。
・軽い副作用がでてくることがあるが、ふつう7〜10日以内には軽快する。
・服用を止める前には医師の相談すべきであることを強調する。
・状態が改善した後も、少なくとも3ヶ月は抗うつ剤を継続する。
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●恐怖症性障害:特定の場所や出来事に対する強い恐怖感。
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カウンセリング法を行うことで、薬物療法を必要としない患者は多い。しかし、抑鬱症状も認められるときには、抗うつ剤の処方が効果的である。軽い症状がたまにおこる場合にはベンゾジアゼピン抗不安薬を屯用として使うのが効果的である。常用すると依存を来たしやすく、中断すると症状が再燃しやすい。
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●パニック障害: 突然始まり、急激に広がり、数分で収まるような説明のつかない不安や恐怖。
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不要な身体的検査や薬物療法は避ける。発作が頻回で重症な場合や抑うつ症状が目立つ場合は、抗うつ剤が有効である。 |
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○全般性不安: 不安や緊張に伴う多彩な症状。
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ストレスへの対処法を身につけることは、苦痛や苦悩を和らげる最良の方法である。抗うつ剤の投与は効果的なこと(特に抑うつ症状があれば)があり、依存や反跳症状を来さない。 |
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○不安・抑うつ混合状態:不安とと抑うつの様々な症状を示す。
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薬物療法は診療指針として第1選択ではない。しかしうつ病の症状が強ければ抗うつ剤を使うことがある。
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●適応障害:打ちひしがれた気持ちになったり、物事に対処できないように感じる。
ストレスに関連して不眠、頭痛、腹痛、胸痛、動悸などといった身体症状が認められる。
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強い不安症状があれば抗不安薬を最大3日間だけ使用する。
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●解離性障害(転換ヒステリー):患者は、突飛で演技的な症状を示す。
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抑うつ症状を伴う、より慢性の症例には抗うつ剤が有効であることがある。
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●説明不能な種々の身体症状
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抗うつ剤による治療が有効な事例がある(頭痛、過敏性大腸症候群、非特異的胸痛など)。
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●神経衰弱(慢性疲労を含む):精神的または身体的疲労感。気力の喪失。
●摂食障害:過食・拒食に伴って抑うつ症状を示す場合もある。
●睡眠障害(不眠):鑑別診断:うつ病、アルコール乱用や薬物乱用の現れであることがある。
不眠を来しうる薬物:ステロイド、テオフィリン、一部の抗不安薬
●性機能障害(男性、女性):
鑑別診断:うつ病、糖尿病、高血圧、多発性硬化症、アルコール乱用、
および薬物治療など、インポテンツを来す身体的要因。
●行為障害:両親または学校教師は破壊的な行為を何とかして欲しいと要請してくる。
鑑別診断:抑うつ状態、ほか。
●喪失体験後症候群:2ヵ月経ってもなお抑うつ症状が続いていれば、うつ病を疑う。